
(1)長浜市民の子育て学習に関する調査
この調査は、滋賀大学生涯学習教育研究センターと長浜市企画部生涯学習スポーツ課との共同で、長浜市民の子育て意識や
子育て学習の実態・関心を把握するためのものです。中学生までの子どもを持つ保護者1000名を対象に行われ、回収率は42.9%でした。
調査の結果、興味深い結果がいくつか得られました。例えば、回答者が「子育てに悩んだ時、一人で悩むのではなく、周囲の人に相談したり、本や雑誌で情報を集めたりしながら、うまく問題を解決することができているかどうか」を、子どもの発達段階別にみてみると、「たいへんうまくできている」と回答した人の率については、子どもの発達段階間で明確な差は認められませんでしたが、「うまくできている」(「たいへんうまくできている」+「まあうまくできている」)と回答した人の率では、子どもの発達段階が高くなるにつれて、率が低くなる傾向が認められました。
(2)高齢者の生きがいと学習に関する調査
本調査は、日本と中国の老人大学生を対象とし、彼らの老人大学での学習実態とともに、「自己主導的学習」能力及び「生きがい」の特質を明らかにすることを目的としています。なお、「自己主導的学習」とは、「学習者が学習目的を認識し、学習者自身が日々の学習の計画や意志決定(何をいかに学び、どこで支援を得るか等)やコントロールの第一義的責任をもつ学習(『生涯学習研究e事典』)」のことをいいます。
対象となった老人大学は以下の2大学です。
【天津市老年人大学(中国)】
天津市老年人大学は、退職者を中心に高齢者を対象とした天津市初の老年人大学であり、1985年4月に設立されました。
この大学は、「大規模」、「多専攻」、「高水準」の総合老人大学であり、2006年度には、8155名の学生が学んでいた。講座は多様で、「文学歴史・外国語」「書道」「中国画」「家政」「身体健康」「中医保健」「ダンス演劇」「音楽」「コンピューター」の9部門からなり、2006年度で114の講座が開設されていました。
【滋賀県レイカディア大学(日本)】
滋賀県レイカディア大学は、高齢者のための大学です。県内に居住する60歳以上75歳未満の人を対象とし、「高齢者みずからが学び、持てる力をさらに磨き、社会参加や地域づくりにおける担い手として登場できるよう支援する」ために、1978年に開設されました。運営は、「滋賀県社会福祉協議会」によって行われています。
授業は、全学生が学ぶ「必修講座」とクラス単位で学ぶ「選択講座」とで構成されています。「必修講座」には、「人間理解」、
「郷土理解」、「社会参加」、「学校行事
」が含まれ、「選択講座」には、「園芸学科」、「陶芸学科」、「生活科学学科」、「スポーツ・レクリエーション学科」、「地域文化学科」があります。
調査結果のうち、滋賀県レイカディア大学で学ぶ高齢者の「生きがい感」と「自己主導的学習能力」についてみてみましょう。
○生きがい感
「改訂PGCモラール・スケール」を用いて、回答者の「生きがい感」の特質を明らかにしました。
因子分析の結果、2つの因子が抽出され、第T因子は「老いに対する満足感」、第U因子は「心理的安定」と命名されました。この2因子に関して、全体の平均値をみてみると「老いに対する満足感」が0.793、「心理的安定」が0.785となっていました。レイカディア大学生は、「老いに対する満足感」と「心理的安定」について、ともに積極的な認識を持っているといえます。
○自己主導的学習能力
自己主導的学習レディネス尺度(SDLRS)を用いて、回答者の「自己主導的学習」能力について、その特質を明らかにしました。因子分析の結果、4因子が抽出され、第T因子は、「学習に対する好意」、第U因子は、「学習者としての有能さ」、第V因子は、「探究心」、第W因子は、「学習に対する自己責任」、第X因子は、「学習における主導性」と命名されました。
この4つのカテゴリーについて、全体の平均値をみると、「学習に対する自己責任」と「学習に対する好意」の評価が高くなっていました。レイカディア大学の学生は、学習に対する責任感が非常に強く、そして学習を楽しんでいる、といえるでしょう。一方、「学習者としての有能さ」については、5つのカテゴリーの中でもっとも評価が低くなっていました。
(3)研究プロジェクト「公民館活動の調査・研究」の推進
平成18年度から大津市教育委員会と共同で、「公民館研究会」を開催してきています。テーマは、「団塊世代を対象とした公民館講座」です。今後、団塊世代の退職が相次ぎます。こういう人たちに、地域づくりの主体として参加してもらう手だてを、公民館の事業として追求しようと言うことです。
平成20年2月5日に行われた研究会では、二つの事例発表がありました(二つとも、本年報で紹介しています)。
第一は、瀬田北公民館の実践です。「団塊の世代講座」と銘打っておこわれた「剪定で『庭』づくりから『町』づくりへ」という、専門家の協力を得た、三回(「知識編」「管理編」「実技編」)の講座です。単なる趣味に走ることなく、「町」づくりにもつながる実践として注目されました。
第二は、比叡平公民館の実践です。団塊世代のための「おじさんの遊び場」講座がユニークです。「定年後20年近くどう過ごしますか。好きなこと、やったことのないこと、体験しましょう。毎月1回遊んでいますから自由に見に来てください。木材一つ持参してくださいね。」という呼びかけではじまった「木工あそび」が好評で、少人数ながら継続しているという実践です。
「団塊世代の地域デビュー」に公民館がどのように関われるのかは一つの課題です。実践を積み上げながら、一定の方向性を検討する予定です

(1)「環境学習支援士」養成プログラムの実施
「環境学習支援士」は、単に環境問題に関する専門的な知識を有する人材ではなく、学校や地域にあって、自ら先頭に立ち、適切な指導・助言を行いながら、環境問題の解決に取り組むリーダーです。
「環境学習支援士」養成プログラムは、「大学の授業の履修」、「実習」、そして「課題研究」の3つから構成され、これらの学習を4年以内に修了した受講生には、滋賀大学より「環境学習支援士」の資格が授与されます。
3月20日、資格審査を終えた14名の受講生(社会人コース:7名 現職教員コース:1名、学生コース:6名)が、滋賀大学にて「環境学習支援士」の認定証を受けとりました。これから、彼らが「環境学習支援士」という資格を、地域において、どう生かしていくのか。これから、この資格の真価が問われることになるでしょう。


(2)淡海生涯カレッジへの参画
「淡海(おうみ)生涯カレッジ」は、1995年に滋賀県が文部省より委嘱を受け、滋賀大学生涯学習教育研究センターと共同で進めた「地域における生涯大学システムの研究開発」の一環として開設されたカレッジです。
近年、市民の学習ニーズは多様化し、高度化してきています。淡海生涯カレッジは、こうした市民のニーズに応えるために、1996年に滋賀県・大津市で「琵琶湖学習コース」が開設されました。それから7年が経過した2004年度現在、県下には4校のカレッジ(大津校、彦根校、長浜校、草津校)があり、体系的な環境学習の機会を市民に提供しています。これらのうち、現在本センターは、滋賀大学教育学部附属環境教育湖沼実習センターや県・市の教育委員会等とともに、「大津校」と「草津校」の企画・運営を行っています。
カレッジのシステムは次のようなものです。学習者はまず、公民館で「問題発見講座」を受講します。この講座は、身近な環境問題を学ぶ中で、学習者が環境についての問題意識を高めることを目的としています。続いて、高校や生涯学習センターでの「実験・実習講座」を受講します。この講座では、琵琶湖上で水質調査を行う等、実験や実習を中心とした学習が行われます。そして最後に、大学で「理論学
習講座」を受講するのです。ここでは、大学教官による講義と学習者によるグループ研究が行われます。
学習者は、これら3つの講座を通じて環境についての学習を深めていくことになります。環境学習は、知識だ
けの頭でっかちな学習のみでは意味がありません。同様に、経験のみに頼りきった学習だけでも偏ったものにな
ってしまいます。環境に対する「意識」、環境に関わる「経験」、そして環境についての「知識」、これらがバランスよく学ばれることの中に、環境学習の深まりがある、といえるでしょう。


(3)大学公開講座の実施
公開講座委員会を通じて、経済学部・教育学部の委員と協議を重ね、実施計画を練り、講座を実施しました.。本年は、従来型の「公開講座」講座、地域に大学が出向いて地域とともに企画する「地域巡回講座」講座、そして正規の授業を市民に開放する「公開授業」を実施し、多くの市民が受講をしました。
(4)フォーラム「生学習の現代的課題」の開催
いわゆる「団塊の世代」が定年を迎える時代になった。こうした大量の団塊世代にとって、地域は次の主要な生活場所となる。したがって、これは企業などの問題だけでなく、多くの時間を費やすことになる地域の問題でもある。ところが、地域社会は、少子高齢化や経済の長期的な低迷などによって活力が弱まったり、地縁的なつながりが薄れてきているところも少なくない。また、「平成の大合併」と言われる市町村合併も進行し、新たな地域づくりが提起されてきている。
こうした中で、多様な力をもった団塊世代が、新たな地域づくりにどのように参加してもらうのかは重要な課題となっている。ところが、問題は簡単ではない。地域でのボランティアや学習活動に積極的に参加できる人たちはいいのだが、なかなか参加できない人が出てくる。特に、団塊世代の男性の多くは企業の仕事を中心として生活してきた(「会社人間」)ことから、定年後にいきなり地域に活動の場を求めようと思っても、そう簡単にいかないことは容易に想像できる。
したがって、地域が団塊世代の登場を必要としていること、ではどのようにすれば地域活動に参加できるのかということ、この地域参加は団塊の世代の生き方(生きがい)にとっても大切であることを、生涯学習の課題として明らかにしていくことが、今求められている。こうした趣旨から、10月4日(午後1時30分〜4時30分)に、大津市生涯学習センターホールで、下記の要領で表記のフォーラムを開催した。行政関係者を中心に、約140名の参加があった。
1.パネリスト
宮田 安彦(大妻女子大学)
「団塊世代の地域デビューの意味」
八代 政彦(群馬県生涯学習センター)
「群馬キャリアデザイン支援事業と『団塊シニア』の支援」
藤本 秀弘(山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会)
「必要とされている団塊世代の活躍」
2.コーディネーター
梅田 修(滋賀大学生涯学習教育研究センター)



(1)大津市社会教育担当職員研修会
大津市教育委員会と共催で、「社会教育担当者研修会」を開催しました。研修内容・日程は、以下の通りです。
第1講 5月22日 神部純一(滋賀大学生涯学習教育研究センター)
「生涯学習社会とこれからの公民館」
第2講 6月26日 吉田清彦(フリーライター)
「行列のできる講座とチラシの作り方」
第3講 7月13日 今崎憲一ら
「退職男性たちの仲間づくりと地域活動事例について」
第4講 8月21日(予定) ワークショップ
「公民館講座をいかにすすめるか」

1.『高齢者の生涯学習と生きがいに関する調査ー日本と中国の老人大学生を対象としてー』
2.『長浜市民の子育て学習に関する調査』
3.『滋賀大学生涯学習教育研究センター年報』